世間に馴染めない人によるブログ

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CHAOS;CHILD全ルートクリア ネタバレなし感想・レビュー

みなさんこんにちは

今回は前回に引き続き、カオスチャイルドの感想・レビュー記事です。

本記事は全ルート(Trueエンドまで)クリア後の感想です。前回の記事に補足する形になりますので、まだ見ていない方、大まかな感想を知りたい方は以下のリンクへお願いします。

miopon.hatenablog.com

 

※感想を語るにあたって、注意をしますが最低限のネタバレのエッセンス程度のものは含みます。それすらも嫌、全くのゼロからプレイしたいという人は批評点、総評まで飛ばしてください。

 

 

さて、名残惜しくもクリアしてしまったわけですが、このゲーム、先に全体の感想を述べてしまえば、とても切ない話だなぁと思いました。

ネット上で、同じ科学ADVシリーズの傑作、シュタインズゲートのラストが「なかったことにしてはいけない」ものだったのと対照的に、本作のラストが「なかったことにしなければいけない」ものである、という意見を目にして、なるほどなぁと心の底から思いました。

 

それでは各ルートごとの感想を語っていきます。

 

 

◇有村編

最初はなんだこのギャルゲーと思ってプレイしていました。したがって、今作で一番キャラクターにドキドキするのもこのルートなんじゃないかなと思いました。

しかしラストはなんとも... 悪い意味ではなく、心の底から「マジかぁ...」となるエンディングでした。

あとこのルートですごく有村が好きになりました。(余談ですが筆者は神成さん、久野里さんがすきです)

 

◇香月編

後述しますが、香月編に入るための妄想トリガーの操作がすごくわかりにくかった。しかも、その原因を調べるにあたって軽いネタバレを喰らうし、ゲーム内でのチュートリアルを充実させてほしいなと思った章でした。

本編の内容としては、やってよかったなと思う内容でした。最初は「香月なんてルート組む必要あるのか?」とも思っていましたが、彼女の人となり、しゃべらない理由、Trueエンドに繋がる事実など、たくさんのことがわかるし、香月華というキャラクターの掘り下げにもなっていて、とても良い章だと感じました。

あと、色々なレビューで言われている通り、本章が共通ルート、各ヒロインルート、Trueエンドの全ての中で最もカオスです。どれだけカオスかといったら、ドラゴンが出てきて人を食べます。

 

◇うき編

有村編をギャルゲー、香月編をカオスと表現するなら、本章はさしずめホラーといったところでしょうか。

ネタバレになるので多くは語りませんが、自分はプレイしていて「自分だけがこの世界の異変に気付いているループ系の作品の主人公」の気持ちを体験していました。

それと、本章のDream sky endのラスト、ある人物が「これがやりたかったことなんだよね?」と主人公に聞くんですけど、これはマジで震えました。行動指針が一つに固まっていて、なおかつそれが狂っている人ってマジで怖いですね。

 

◇乃々編

衝撃の一言につきます。たしかに共通ルートでの、ある「これどういうことなんだろう」と思っていたことを一つ解決してくれる章なんですけど、こんな事実だったとは...

あとなにか書こうかなと思ったんですけど、ネタバレを避けて語るには難しい章なので、これだけにしておきます。

余談ですが川原くんが嫌いになると思います。クズで根性なしという評価になりました。

 

◇True

一言でいうなら「切ない」に集約されるでしょうか。

お互いがお互いとして生きていくために最後の言葉になった、言い換えれば「なかったことにしなければいけなくなった」と考えると、とても感慨深く、やはり切ない気持ちになります。

あとこれは共通ルート終盤から見られていましたが、宮代(主人公)が「成長した」という言葉では表せられないほど変化したなぁと思います。シュタゲにも言えるんですけど、主人公の成長や変化がもうそれだけで泣ける。

 

最後に、一週目のときには気づかなかった批評点と、総評を述べて終わりにします。

 

◇批評点

まずシステム的な話から。このゲームは共通ルートをクリアしてから、Trueを除く各ヒロインのルートを遊ぶために、共通ルートの妄想トリガーをポジティブかネガティブのどちらかを選択するのですが、次の妄想トリガー(選択肢)までスキップ機能が欲しかったなぁと思いました。

既読・未読スキップ、妄想トリガー発生でスキップを止めるなどの機能はあるのに、なぜないんだろうと思いながらプレイしていました。

 

同じく妄想トリガー関連の話で「more」の操作がわかりにくかったと思います。

このゲームは、先ほど説明した妄想トリガー選択でポジティブを選択すると、一部「more」と表示されてさらにポジティブを選択することができます。

しかし、ゲーム内でmoreを含めた妄想トリガーについての説明は一切なく、筆者自身moreは自動でそういう演出になっているものだと思って(選択するものではないと思って)いました。このせいでルート突入にmoreの選択が必要な香月編に入ることがなかなか出来ず、原因を調べる中で軽いネタバレに触れることになってしまいました。

確かになにかしらのマニュアルや事前に妄想トリガーについて調べていなかった私にも非はありますが、できることならゲーム内でわかるようにしてほしかったなぁと思いました。

 

最後にCGが少なかったかなと思います。戦闘シーンとかも立ち絵を動かしたりエフェクトが出たりするだけだし、ここCGあってもいいんじゃないかなと思ったところが立ち絵だけ、などのようなことがあります。ギャルゲー寄りにADVなんだし、CGはもうちょっとあっても良かったかなと思います。

 

次にシナリオについて。まずは久野里さんの掘り下げがあまりなかったなと思いました。

たしかに全体のシナリオやTrueで大体のことはわかるのですが、彼女がギガロマニアックス(能力者)を恨んでいる理由が作中でなされず、PS版の特典のボイスドラマで明かされること、アメリカ時代の説明がかなり薄いことなど、久野里編を作れとは言いませんが、もっと作中で掘り下げてくれればなぁと思いました。(もしかしたら前作をプレイしていたらわかることなのかもしれません。そのようでしたらごめんなさい。)

 

次に山添うきについて、彼女については全体的に気になることはなかったものの、なぜ力士シールの作者の部屋に一瞬現れて消えたのか(主人公の幻覚?)、それに付随して力士シールの作者と収集家関連の話が、割と尺を取ったわりには雑かなと感じざるを得ませんでした。

作中のミスリード的なものだとしたらそれまでなのですが、なんかここらへん説明不足かなぁと思いました。

 

◇総評

一言でまとめるなら人を選ぶ良ゲーです。

主人公はクセがあるし、割と描写がグロいところがあるし(CGはそこまでグロくないものの)、話の属性てんこもりでついていけなくなる可能性はあるし、あとあまり言わない方がいいんですけど、シュタゲみたいに全て丸く収まるわけではないし。

しかし、本作の持つキャラゲーとしての側面、ホラーとしての側面、サスペンスあるいはミステリーの側面、どれもが光り輝く一級品であると感じました。

特に、どこまで進めても我々受け手を驚かせるどんでん返しの数々には、シナリオ構成力にただただ畏敬の念を抱くのみでしょう。

例えばなんですが、「こういうの好きでしょ?」を放り込んだだけのゲームって「あぁ、こういうの好きだね」だけで終わると思います。本作では更に一歩踏み込んで、絶望に落としてみたり、かと思えば救いの光を見せてみたり、感情のセーフゾーンを受け手に与えない作りをしているなぁと思いました。

だからこそ、感情が揺さぶられるからこそ、キャラクターの展開でこちらまで一喜一憂するし、成長や変化に心が熱くなる。エロやグロ、暗い話や超展開だけで終わらないゲームに仕上がっているんだろうなと感じました。

ここまで色々言ってきましたが、興味が湧いたらあとは情報を入れずにプレイしてみてください。面白いかは保障できません。しかし、忘れられないゲーム体験になるかもしれません。

 

ここまで読んでいただきありがとうございました。