映画紹介シリーズ「スリービルボード」
いつも記事を見てくださっているみなさんはこんにちは。初めて見ましたという方もこんにちは。お金ください。
最近梅雨を抜けてすっかり暑くなりました。暑すぎてEXILE ATSUSHIになります。梅雨を抜けた、といえば勿論夏がきた!ということですね。今回はそんな夏に縁もゆかりもないけど面白かった映画を紹介していこうと思います。
(最近このブログ映画紹介しかネタねえなって思われていませんか?まだ大丈夫ですか?)
今回ご紹介するのはこちら
スリービルボード
(※紹介するにあたって多少なりネタバレを含む可能性があります。「○ストーリー」ではネタバレをしませんのでもし興味を持たれた方はご注意ください。)
○ストーリー
アメリカの片田舎に住むミルドレッドは、過去に娘を強姦殺人で亡くし、失意のまま残されたもう一人の息子と暮らしていた。事件から9ヶ月余りが経ち、それでも犯人の逮捕に至らない警察に苛立ちを覚えたミルドレッドは、町外れの三枚の貸し看板にあるメッセージを載せるよう依頼する。
○良い点
本作は娘を亡くした母親ミルドレッドと、友人、そして警察関係者との対立や協力を描く人間ドラマです。最初に断っておくと、決してミステリーやサスペンスではありませんので、悪しからず。
さて、最初の魅力ですが、やはり話の展開でしょうか。先ほどミステリーやサスペンスではないと断りを入れさせていただきましたが、それでも展開の二転三転には驚かされることでしょう。
悪い点にもかこうかな、とは思っていたのですが、この作品は割りと救いがありません。というより、良い方向に向かうのかな...?からの突き落とされる展開にハッとさせられます。どのくらいかというと、寝っ転がって、片手で10円をごしごしして輝きを戻そうとゴシゴシしながら見ていたのですが、驚きのあまり硬貨を置き、画面の前で正座になるくらいの展開でした。
更にはオチですね。ネタバレのないように、見た人にしかわからないように言うと、「状況の解決を諦めて、こうすることでしかもうケリをつけられないんだな」と思った瞬間涙が出ました。
「え?どういうこと?」と思われるかもしれませんが、ネタバレしたくないし、話すと長いし(映画本編まるまる説明することになるし)面倒くさいし。とどのつまり本編見てくださいってことですよ!
後は人間としての成長がありありと描かれていることです。この作品の主要人物に、素行が悪く、差別主義的で良い大人になっても母親に頼りきりのディクソンという警官が登場します。
この警官は紹介したようにま~~~~素行が悪く、ミルドレッドの看板を撤去させるために彼女の友人を無理やり立件したり、彼女が依頼した看板会社のレッドという男を殴って二階から放り投げたり、こいつクビになるか死ねばいいのにってくらいひどいです。
しかし、ある一件を機に自らの行いを(恐らく)反省します。その上ミルドレッドの娘の殺害に関与したと思われる男の証拠を無理やりゲットするなど(ここの展開の伏線も最高だから見て)かなりの成果をあげるんです。
最後に、舞台を1から10まで活かしたつくりでしょうか。
先述した通り、全体を通して小さな田舎町で話は展開していきます。そんな小さな町の最大権力である警察にわざわざ楯突くような看板を設置しただけでミルドレッドはテレビの取材を受けたり、息子はクラスメイトから非難されたりします。
あとは町のゴシップを皆が共有しているところも、田舎というある種閉鎖的な空間を演出しています。
何が言いたいかというとそれだけリアリティが増すということです。特別な能力や素質、それどころか偉大な勇気や信念があるわけでもない。普通の田舎のやつれた母親なんだと思わせてくれます。
このように、三枚の看板を起点とした良質な人間ドラマがこのスリービルボードの魅力となっております。
○悪い点
先述しましたが、この映画救いがありません。勿論もっと救いがなくて有名な話は沢山あるのですが、それでもハッピーエンド以外認めん!という人にはおすすめできません。
あとは主人公のミルドレッドが結構イッてます。精神的に参っているとは言え主人公が聖人じゃないと...という方は見ていて嫌な思いをするかもしれません。
参考までに一エピソードをご紹介すると、看板の件で町の住民から白い目で見られていたミルドレッドは、ある日歯医者に歯の治療に行く。
勿論彼女を白い目で見ていた歯医者の男は、治療を適当に済ませようとし、懇意にしていた警察署長の名前を口にする。その瞬間、ミルドレッドは男の手を押さえ、治療用のドリルを奪い彼の親指の爪に突き立てた、というものです。やべえなこいつ...(畏怖)
さて、そんなスリービルボードの得点ですが、個人的には80~90点は固いのですが、どちらかといえばバッドエンドですので、それらを含めるとおすすめ度は
78/100点
あったかい、感動がわかりきっているような人間ドラマじゃなくて、一見手厳しいような人間ドラマが見たいという方には胸を張って、自身を持っておすすめできるでしょう。
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スタンドバイミー
(日本語の予告がなかったのでブルーレイの予告で許し亭...)